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遺言の取り消し

遺言書というものは、被相続人の最終的な意思を実現させる為にある制度ですので、遺言書を作成した後であっても、何度でも、納得が行くまで、書き直したり取り消したりといった事ができます。 また、作成した遺言書と違う形式の遺言書によって取り消すことも可能です。
例えば、公正証書遺言に書いたことの中の一部を、自筆証書遺言によって取り消すことも可能な訳です。

※当事務所では、公正証書遺言にて遺言書を作成されたのちに、事情に応じて自筆証書遺言にて更新していく方法をお勧めしています。

遺言の撤回とは

遺言者はどんな時でも遺言の方式に従い、その遺言の全部または一部を撤回することが可能です。 遺言は、人の最終意思に法的効果を認めるものです。現実問題、死亡の瞬間に意思表示をすることは不可能または非常に困難であるため、生前に遺言者があらかじめ遺言という形で意思表示をして、遺言者が死亡した際にはその内容を遺言者の最終意思と認める事になるのです。

しかし、遺言の作成と遺言者の死亡との間には時間的間隔があることが多かれ少なかれあるため、遺言者は、生前、いつでも遺言に記載した意思を変更、撤回することができるのです。 遺言者は、遺言の撤回権を放棄することはできません。

民法に定められた遺言を撤回する場合として次の5つがあります。

  1. 前の遺言を撤回する遺言によって、遺言者はいつでも前の遺言を撤回することができます
  2. 前の遺言と抵触する遺言があれば、抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされます
  3. 遺言をした後に、遺言の目的物を他人に売却したり贈与した場合にはその抵触した部分については撤回したものとみなされます
  4. 遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、破棄された部分の遺言については撤回されたものとみなされます
  5. 遺言者が遺贈の目的物を故意に破棄した場合には、その目的物については遺言は撤回されたものとみなされます

分かりやすく例えると、公正証書遺言で、「A土地は、長男に相続させる」と書いた後日に、新たに自筆証書遺言で、「A土地は、妻に相続させる」と書いた場合、日付の古い公正証書遺言の「A土地は、長男に相続させる」という部分は取り消され、後に作られた自筆証書遺言の「A土地は、妻に相続させる」が優先されます。